Nothing Happens / 何も起こらない (2019)


以下のもので構成されたインスタレーション:

オーガンジーのカーテン、鉛筆、繰り返し描線する手を写したビデオ、壁に残った筆跡

Installation Includes :

Organdie, pencil, video of a repetitive stroking hand, pencil traces on the wall




夜中にふと目が覚めたときに、カーテンのかかった窓の外の景色が目に入った。

ごくうすいグレーのカーテンごしに差し込む街灯の光をぼんやりと眺めながら、指先をもじもじと掻く。指先を掻くのは眠れないときの癖だ。


オーガンジーの布の、左上の端から右下の端まで鉛筆で塗りつぶす。布は薄くて、鉛筆の線が布ごしに壁まで届いてしまう。布を塗っていたつもりが、壁を引っ掻いているようだった。



鉛筆で引っ掻く動作を繰り返していると、思考が遠くへ行ってしまう。

繰り返しの動作は旅の途中のようである。出発点から目的地へと運ばれていく途中、ここではないどこかへ思考をめぐらせ、ただ時間と道のりだけがある。